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カミングアウト [あの日から今日まで]

六月のとある日、≪イチゴの会≫のお知らせが届いた。

≪イチゴの会≫とは、高校時代のいわゆる仲良しグループ15人で結成された会で、卒業後もこの仲間の縁が切れてしまうことのない様にということから始まったものだ。その当時は十数年後までも続くものと思っていたかどうか?別れがたい気持ちからの思いつきだったかもしれない。≪イチゴの会≫15人だからイチゴ…ネーミングの安直さからすると後者だと思われる(笑) ところが、社会人となり、家庭人となったりして形を変えつつも今現在こうして存続しているこの”縁”は、特に誇れる物を何も持たない私にとってかけがえのない”誇り”といってもいいほど大切な宝物である。

社会人・学生の頃のその集まりは一泊旅行であることが多かったけれど、妻となり母となったメンバーの状況などを考慮し、より15人が確実に集まれるようにということで食事会という形が多くなっていた。

いつもなら、このお知らせが届いた日から、(何を着ていこうか?)などと考えながらワクワクしてその日を待っただろう。けれども今回は少し事情が違っているのだ。

今回の幹事は奈央である。

私から”彼”との再会を聞いた時に湧き上がった懐かしさが、先日”彼”と直接話をしたことでより膨らんだことは察するに余りある。そこで急遽思い立った≪イチゴの会≫の召集であることに間違いないとわかっているから…会って全てを見透かされたらどうしよう!!!の不安がいつものワクワク感を半減させていた。

それでも、”彼”と奈央の電話の内容も気がかりだったこともあり、出席しないわけにはいかなかった。

当日、いつもなら絶対に遅刻してくるのが”お約束”なはずの彼女だけが待ち合わせのホテルのティーラウンジに到着していた。(幹事だから?かな…)

彼女は私だけを待っていたかの様に私を見つけて手を振った。

「まだ誰も?幹事だとさすがに遅刻はないかー」と言った私にすかさず彼女はこう言ったのである。

「まだ誰も来ないよ、みんなには一時間後の6時で伝えたから。」

(私だけを待っている様に見えたのではなく、私だけを待っていたのだ。)

一瞬の動揺を彼女が感じ取ったかどうか?を気にしながらも私は半分覚悟を決めて言った。

「聞きたい話があるものねぇー(笑)」と。すると彼女は

「ううん、美由が私に話したい事があるはずだと思ったからよ(笑)」と言った。

(私の気持ちに気づいてるの?)と躊躇している私に彼女はこう続けた…。

「私が思ってる通りだったら、今夜みんなの前でma-saの話は一切しないつもりだから。」

もう何を言っても無駄だと確信した。それに、この日き彼女が何も言ってくれなかったとしても、彼女にだけは≪この想い≫を言わないでおくはずがなかったと思う。

「うん…。多分当たってる。」とカミングアウトした。

「ok!じゃあ今夜の二次会は二人で話そうね」

彼女は”彼”を懐かしんでみんなを集めたのではなかった。

何かのきっかけで私の気持ちを察した彼女一流の優しさだったと気づく。

この、姉と妹のようなポジションは高校生の頃からずっと十数年間変わる事がない。私も少しは”大人”になったはずである。けれど、同じ距離間を保ったままか若しくはそれ以上、彼女の方が数段”大人”なのだと思い知る。

 

 

 


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