SSブログ

今夜だけ泣いてもいいよ [アイシテルの気持ち]

今日、先週の土曜日から上京していた彼と3日ぶりに会った

思ったより元気だったので…一安心

安心したのも束の間…食事を一緒にした後、

再び新幹線が彼を東京へ連れて行っちゃった。

どうしても・・・な、お仕事があって一時的に戻っただけだった。

今回ばかりは、さすがの私だって、何も言えない

”じゃあね。気をつけて” 言ったのはそれだけ。

”早く帰って来て”とは決して言えない理由の上京だから。

       日付が変わったから、もう今日になるのかな…

       そう、6月20日は、私たち二人の”8回目の記念日”だけど

       きっと、その事も忘れてしまってるんだね…それも仕方ない―っか。  


 

この事態になったのは、金曜日の夜にかかった、一本の電話―

東京にいる、彼の親友からの電話だった。

その電話の最中、彼の顔が”蒼白”になったのがわかった。

親友のお兄さんの ”命の終わりが近い” という知らせだったから。

そのお兄さんには、彼たちが音楽をやっている時に、

半端じゃなくお世話になった―と以前から聞いていました。

電話の後、煙草を持つ手を震わせながら

   ”俺…今から…東京へ行く”   そう言ったきり黙り込んだ彼。

成す術もなく、じっと彼の様子をうかがっていると、私の携帯にも連絡が入った。

親友の奥さんから

”雅が今夜にでも、こっちへ向う様なこと言ったら引き止めてね。” という旨

別の部屋で話をして、彼のところへ戻ると…彼は泣いていました

私はその姿を見た時、

パパが胃がんで、余命2ヶ月と告知された時にママが言った言葉を思い出した。

”生きようとしてるパパの前で、泣くなら病院に来ないで。” 

今だから、この言葉の意味も、そう言ったママの気持ちも理解できる。

だけど…大切な人の”人生の終わり”を見届けたことがない彼に、どんな言葉でそれを伝えれば

いいのかわからなかった。


 

 ”雅樹がどうしても今から行くって言うなら…美由が運転していく。”

 ”でも…本当は、涙が出る間は病院に行っちゃいけない気がするよ。”

 何も返事はしなかったけれど、手渡したお酒を飲み始めたのが

 私の言葉を理解した返事のかわりだと思って、一緒に飲み明かす覚悟を決めた。

  三歳しか違わないのに、夢食いの自分達に初めてのボーナスを全部くれたこと

  ツアーが決まった時に、ダサいスタッフTシャツを作ってくれたこと

  ライブハウスにスーツで現れて、逆に一番目立ってたこと  etc.

 この8年で、彼の涙を見たのは3回目。

 だけど、彼が壊れそうに泣いたのを見たのは初めて。

 ”お兄さん、生きてるのに…死んじゃうと思って泣かないで”って言ったけど

私の膝で仰向けになって、顔を覆った手の隙間から、流れても・・・流れても止まらない涙を見たら

    ”今夜だけ泣いてもいいよ…” と言いなおした。


 

    これが

    8回目の記念日を忘れても

    東京へとんぼ返りしても

          ”早く帰って来て”とは 絶対に言わない理由。

    

    彼が帰って来たら、もう一度言う事になるかな

          ”泣いてもいいよ…”って。


nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:恋愛・結婚

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。