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それでも私はやってない ~承~ [”裏”雅樹]

 目を合わせることもなく・・・

 手をつなぐこともなく・・・

 くちびるを重ねることもなく・・・

 人生最悪の“1回”の後 私の体と心に、言い様のない苦痛だけが残った。

 

 

 

   「どうしてわからないの?」

   「私の何を疑ってるの?」

 私の言葉に耳を貸す素振りもなく、煙草に火をつけた彼の背中に

 心の壁そのものを見た気がしました。

 手を伸ばせば触れられるのに、絶対に触れる事を許さない様な…。

 

 私は、それ以上の言葉の全てを、飲み込まざるを得ない場所に

 追いやられてしまった―

 <俺…美由のこと本気で怒った事なんかないよ> 

 以前に、彼からこう言われた事がある

 それを思い出した…と同時に今回は本気だと思い知る。

 

 私は何一つ彼を裏切ってはいない!!!

 彼の本気が、どれだけ怖くても そこだけは譲れない。

 

 火をつけただけ・・・彼が燻らす煙草の青白い煙だけが真っ直ぐに

 天井にむかっている、静まり返った空間に居たたまれなくなって

 彼の側を離れようとした―  その瞬間だけ、振り返った彼の顔。

    人を寄せ付けない雰囲気 自分しか信じない態度 

    淋しくて 冷たくて 臆病な目をしていた

 その昔…大嫌いな人だった時と同じ顔、同じ目で私を見た。

 あの夜…私はまた彼を大嫌いになってしまった。

 ただ、大嫌いになったけど、愛してるところ…そこが昔と違っていました。

 

 返事など期待する気持ちもなく 独り言のように

      「シャワーしてくるね…」 それだけしぼり出すのが精一杯

 

 全ては彼の誤解

 でも、こうなってしまったら

 そんなことどうでもいい・・・

 

 理由はどうあれ、彼にまた “あの目” をさせてしまったのは私

 

 だけど― 

 私自身が カナシイキモチに押しつぶされそうになって

 どうしていいのかわからなくなってしまった…。

 

   「どうしてわからないの?」

   「私の何を疑ってるの?」

 彼にそう言ったけど… 思えばこの言葉

 何度彼の口から聞いただろう

 

   「何でわからないんだ!」

   「俺の何を疑ってるんだ!」

 自分が疑われて初めて気付いた、自分の浅はかさ。 


 

 リビングに戻って彼に伝えた事―

    「本当に何もないから。」

    「でも、ごめんね…雅樹を今まで疑ったりしたコト。」

    「どんな気持ちになるのか、今日初めてわかったから。」

    私のどの言葉にも、彼から何も返ってくることはありませんでした。

 

 いつもの私なら、家に帰ってしまったかもしれません。

 でも、あの夜は、彼は絶対に来ないとわかっていて

 一人で寝るには広すぎるベッドで朝を迎えました。

 

 私は何があっても、雅樹を1人ぼっちにはしないって 

            それだけは信じて欲しかったから。

 

 


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mei

ごめんね。
全て終わったことと、過去の事と
解っていても、ちゃんと最後まで読むまで
安心できません。

私、悲しくて涙が出てきちゃったよ・・
だから、上手にコメントできないよ・・
by mei (2008-05-27 22:50) 

mi-mi

meiちゃん[おんぷ]
大丈夫よん
ココに書けるようになったということが
二人の間でちゃんと完結していますから

ぴったり[はぁと] 雅サマのお隣におりますデス[はぁと]
by mi-mi (2008-05-30 01:40) 

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