星に願いを…①~しし座流星群~ [あの日から今日まで]
1999.11.19日未明に「しし座流星群」の流星が肉眼で見られる…その数は33年に一度の大天体ショーという話題に、普段から星に目をやるコトのない人々ですら、この現象には飛びついたものだ…。
そして折しも、18日はボジョレヌーボーの解禁の日である。となれば、パーティー好きの”彼”とその仲間達は、急遽”天体観測サークル”を結成してしまう(笑)
とはいえ、付き合って間もない当時の私にはそんな彼らの”ノリ”を知る由もなく、平日の深夜から朝方にも関わらずイベントが用意されている事など予想もしていなかった…。
その日もいつも通り 、ランチを一緒に食べていた。毎日2時間”彼”と過ごせる時間の1/2の時間だ。
「今日の夜ね…≪しし座流星群≫ってすごい流れ星が見えるんだって。朝からワイドショーはその話題でもちきり…。」
「ふーん…それで、美由は見たいの?」
「ううん…流れ星って”ひとつ”だからロマンチックなのに、たくさん降ったらなんだかねぇ…(笑)」
そんな風に答えたけれど、本心は全然そんな冷めた気持ちではなかった。
≪一緒に見たいな≫本当はそう言いたかった…。でも、≪ダメだよ≫と言われてしまうのは、一緒に見られない事よりも淋しい気持ちになってしまう気がして、裏腹な気持ちを言葉にしたのだ。
「もしかしたら、願い事とかしちゃうタイプなわけ?(笑)」
「しちゃいけない?」
こう”彼”に茶化されてしまっては、なおさら本当の気持ちなど言えない!
今の私には”たった一つ”では足りないくらいの願い事がある。出来る事なら星降る夜空を”彼”と一緒に見たい…そんな気持ちがわからないの?わかる訳ないか…とあきらめた。
以前、スキー場で一度だけ流れ星に遭遇した経験がある。その時は、初めて見た興奮でお願いを忘れてしまい、ずいぶん後悔した事を覚えている。
≪”流星群”をあきらめさせた罪は重いんだからね≫と心の叫びを飲み込んで、”彼”が気付かない程度ほんのちょっぴり不機嫌なランチタイムは終了する。
その日の夕方、会社へ戻る途中の”彼”から電話が入った…。
「今夜いつもより少し遅くに迎えに行くから。」
「迎えにって…どこ行くの?」
「裕樹の家。”ボジョレー&流れ星の会”があるんだってさ。」
「それって…夜中から朝方よ。平気?」
「美由は興味なさそうだったけど…ね?」
「今夜、雅サンのその意地悪が治るようにお願いする。(笑)」
「やっぱ!するんだ…願い事(笑)」
「もう、いいでしょ!じゃあ、待ってるね!」
「了解!!!」
このウレシイ電話から待つこと五時間…19日に日付が変わる少し前になって”彼”から連絡が入る。 明日の朝、私を家まで送る時間はないだろうから…という理由で、私の車で行くことになり”彼”に言われた場所まで出向く。
この時はまだ”彼”と私の関係を”彼”の両親には全く話していない状況だったため、子供たちが眠っている時間であっても私が”彼”の家まで行くことはなかった。
母屋と二階部分がつながる形で増築された”彼”の部屋は一階が音楽をやっていた頃に使っていた場所で、今は駐車スペースになっている。通り側から車を入れてシャッターを降ろしてしまえば、あとは母屋に戻らなくても自分の部屋に入れる様な構造である。
一旦家に帰り、子供たちの様子を見た後…その後出かける素振りを見せずに自分の部屋に戻ってから、そういう無理をして私の待つ場所に来たのである…。
けれど、そんな事をわざわざ私に知らせる”彼”ではない…。
それを知るのは、翌朝…私の車に乗り込む息子の姿を偶然に目撃した”彼”の母親からの電話。
数時間後にそんな事になろうとは思いもせず、私たち二人は”星降る夜空”に思いを馳せて車を走らせていたのだ…。
私の母親から二人の関係を認知された事で、二人ともが心のブレーキを忘れていたのかもしれない。
②へ続く…
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