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夫婦生活+one ~2日目~ [宝物1号☆航汰]

土曜日、明け方

私の携帯のアラームがブルブルしてる…。セットを間違えたわけではナイ!  

 (ブーン...ブーン...) ≪いやぁ~もう起きなきゃいけないのぉ

日付が変わってから眠った私たち三人。土曜日が完全OFFなのは彼と私だけで、航汰は朝方から午前中のバイトがあった。

 眠いけど…このアラームだけはシカトしてはイケナイ!と一気にお布団をめくった。意識がハッキリして隣を見ると、もぬけのカラ…アレレ

≪まさか!もう出かけちゃったの?≫と思ったら、朝シャワーをしていたらしく、髪を拭きながら、リビングでキョロキョロしてた私に声を掛けたのは航汰。

 「おはよっす俺は勝手に行くから寝てていいのに。」

≪その元気はどこから?≫と感心しつつ≪今朝は優しいじゃん!≫と油断して、寝起きのボケボケ眼をこすりながら「オハヨ。何か食べて行く?」と聞いた。

油断した私がバカだった…バスタオルをまいただけの上半身裸のまま、キッチンに立つ私の背後から抱きついてきて「美由のこと食っちゃおっかな

「賞味期限切れですけど(?(笑)」って努めて冷静に答えたけど、正直ちょっぴりドキドキしちゃったわよ!でも、それはアナタにではないからね…パパの声そっくりだからなのよ!!それを言えば”×2”以上の攻撃に遭うから…大人として我慢しただけの事よ!!!

それなのに動揺を隠し切れない私を、真っ赤な顔で勝利の馬鹿笑いしながら、指差していった言葉は許しがたい

「さてと、行こっかな。俺には、飯食う時間も、オバサンをからかってる時間もナイんだった。(笑)」

だけど、少ししか眠っていない”彼の息子”(だって私の息子ならもっと素直で可愛いはず)を、40分も原チャリで走らせるわけにはいかないもの…全てを今だけ水に流して、言ってあげた。そう、大人としてね

「航汰…美由の車で送ってあげる。」

「え~っ、いいよ。朝からそんな恐怖の館みたいな車に乗れねぇ~(笑)」

「大丈夫だって…安全運転するから(笑)」

「バイトに遅刻しそうじゃね?それに、今どき”安全運転”なんて言うこと自体が恐ろしい~よ。」

   ≪ん~もう!!!じゃあ勝手にしなさいよぉ。≫な気分になりかけた時

   彼の声が仲裁に入った

「航汰、送ってもらえよ…前はヒドかったけど、今はそこらの男より男前な運転するから、大丈夫だって(笑)」

何なの?起きてたの?だったら…最初から助けてよぉ~


恐ろしいだとか、恐怖の館とかいいながら…40分のドライブ中、プチンとスイッチをOFFにしたみたいに爆睡していた航汰クンは「着いたよ!」のたった一言で再びONに切り替わる。(さすがに若いな・・・)

「おぅ!サンキュ~サンキュ~ Aunt miyu(笑)」

「どういたしまし・・・・・・ん?Aunt?ってオ・バ・サ・ン

「じゃ!帰りもよろしくなッ。」

「かしこまりました。おぼっちゃま君(笑)」←速攻!車を発進させた私、逃げるが勝ち。

しばらくして、が届く―

≪マジで...ありがと。心配だから着いたらメールしろ、愛してるよ”母”

     じわっときそうになった瞬間、またmail

≪航汰、可愛いトコあるじゃん!とか感動してんじゃねぇ…甘いな(笑)≫

     もう、お手上げです私って…完全に遊ばれてる 


おでこでお湯が沸くくらい?加熱したまま帰宅

     ほんのり香る、淹れたての珈琲の香り 

「朝早くから、ありがとうなぁ~」 (たった一言で怒り鎮火)

「ボロボロになるまで、弄ばれて帰って来ました(笑)」

「アイツ…あれで、美由のこと大好きなんだよ。許してやって(笑)」

「大好き?そうならうれしいけど…遊んでるだけじゃない?」

「だって、アイツがそう言ったんだから…間違いないと思うけど?」

話は二週間前にさかのぼる― 傷心のパパ ~ファイトだよ!~ 

この親子ゲンカの後、男二人で話した時の事らしい…。確かに航汰は私の事を”大好き”だと言ってくれたのだという。

初めての出会いは、まだ航汰が10歳の少年だった頃、しかも彼は心を病んで話をすることが出来ない状態だった。 当然、雅樹とも友達の域を越えてはいない時期で、バーベーキューに誘われて参加した時の事。

周囲の人達は航汰を思う余りに、執拗に声をかけていた。 彼自身も、そういう中で回復してくれれば…と思っていたらしい。 でも、私には逆効果にしか見えなくて

≪ココにいるのが苦しい≫と言いたいように見えて仕方が無かった。

初対面の私であれば、何も知るはずがナイからプレッシャーを感じることもない?と思い水汲みに行くという口実で航汰を水道場まで誘った。何も言葉を発する事無く、ただ黙って横に立っていて”これ持てる?”と聞くと”ニコッ”と笑っただけ。

一つづつバケツを持って戻る途中、勇気を出して言った。

「みんな、うるさいね(笑) 言いたいこといっぱいありすぎて、今考え中っていってやりなよ(笑)」

その時、航汰はしゃがみこんで泣いた。手をつないだら…もう片方の手で顔を拭ってまたバケツを持って歩き出した。 母親がいなくなってから”泣く”という感情の起伏を見せたのはこの時が初めてだったらしい。

あの日の事を覚えていて、彼から私の存在を知らされた中3の冬…。漠然と”あの時のあの人だったらいいな”と思ったという。

「だから、航汰は俺より先に美由の事好きだったんじゃいかな。」

彼から聞いた新しい事実と、忘れかけていた少年の悲しすぎる過去が私を泣かせた

その時彼の携帯が鳴った。 「噂をすれば、航汰だ(笑)」

     あっメールしろ!っていわれてたの忘れた

「美由、ちゃんと帰ってる?」←漏れて聞こえる声はマジで心配してた。

「帰ってるけど、お前があんまり嫌がらせするからって泣いてる。」

「嘘…マジでか?ゴメン代ってよ

「嘘だよ。そんなに慌てるならいじめるな(笑)」

返事もしないで電話は切れた。絶対mailが来る…そう思って彼と二人で私の携帯を見ていた。

思ったとおり、即受信

   ≪父にチクって、俺が居ない間にヨシヨシってしてもらう下心か?≫

 「俺に貸せ!こうやって返信すれば何にも言えないってmail送ってやる。」

   ≪うん、そうそうだから迎えに行くまで帰って来ないでね

それから― 待つこと3分…5分…あら、本当だ

「何だかんだ言って…子供じゃない。航汰クン(笑)」

「その航汰に振り回されてる美由はどうなの?」   そうでした


しょうがないここは大人として”夫婦ごっこ”は諦めよう(笑)

残り5日間も…”家族ごっこ”を満喫しよう。

 私の事を大好きな航汰の”俺メインで…” まっいっか(笑)

      心配だから着いたらメールしろ…  

                と言ってくれたのは本心だったと知ったから

 

 

 

 


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lovery-hyutan

やっぱり美由さんはステキな女性だと思うよ
10歳の航汰くんの涙が証明してるよね[にこっ]
by lovery-hyutan (2006-08-15 22:33) 

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